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驚くことに生きるか死ぬかの戦国時代の武士たちは鉄砲に否定的だった

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隣国から攻められて滅亡する危機と隣り合わせだった戦国時代にヨーロッパから伝わってきた最新兵器の鉄砲(火縄銃)に多くの武士たちが拒否反応を示していました。
 
どうして?

現代人の視点からは、それまでの戦(いくさ)を一変する威力を持つ兵器を受けいれようとしなかったことが不思議ですが、そこには 人間の本質のある一面 が典型的に表れていると言えます。

当時の鉄砲以外の主な武器には、刀、槍、弓などがありました。

それらの武器を使いこなすためには、日々の鍛錬(訓練)を重ねる必要がありました。

全くの素人に武器だけ渡しても、上手に使いこなすことは出来ないからです。

そうした状況では、戦国大名のそれぞれの家には、刀の達人、槍の達人、弓の達人など、それぞれの分野での達人達が存在していた筈です。

そかも、それらの達人達は、その優れた武術(武器の使用法)を親から子供へと伝えていくことで、※※家は、槍の達人の家 というように、戦国大名家の中で、その地位を確立していたと思われます。

戦(戦争)となれば、槍隊は名門の※※家、弓隊は名門の※※家に任せる ‥‥ といった陣容となります。

いざ、戦(いくさ)となれば、上記のような枠組みが作られ、その中で、有力家臣たちの位置づけ(ポジション)が決まっていた中で、全く新しい 鉄砲(火縄銃) という兵器が登場してきたのです。

同じ飛び道具の弓よりも殺傷力が大きく、弓のように立ち上がって放つ必要がなく、腰を落として撃つことが出来ます。

離れた距離から鉄砲で攻撃されれば、刀や槍を持った兵士たちは、相手(敵)に攻撃を加えようとする前に殺されてしまいます。

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 部隊の主力を 鉄砲隊 に変更することで、兵士の数が同じでも、軍事力を各段に増大させることが可能になります。

殿様(戦国大名)からみれば、このような画期的に素晴らしいことでも、殆どの家(戦国大名家)では、軍事改革は行われませんでした。

軍隊の主力が鉄砲隊となれば、自分たちの代々、引き継がれていた、槍や弓の名門というポジション(立ち位置)を失うことを恐れたのです。

出来るだけ遠くへ矢を飛ばす必要性がある弓は、威力を発揮させるための構えや狙う方向など、長い期間、相当な鍛錬を積んで、技術を身につけたと思われますが、新兵器の鉄砲を実践で使えるようになるのに、弓ほどに長い期間の鍛錬が必要ではなかったことは、想像に難くありません。

つまり、弓や刀、槍などの(伝統的な)武器を、大して使いこなせない下級兵士(足軽)たちに、鉄砲の使い方を教えて、鉄砲隊に編入させて戦(戦争)で戦わせれば、これまで、戦で、大きな成果を出していた、弓や槍、刀の達人たちの活躍の場が失われることを意味します。

鉄砲は ‥‥
・雨が降れば(火縄の火が消えてしまうので)使えない
・暴発(火薬が破裂)する危険がある
・威力はあっても一丁が高価で財政を圧迫する

など ‥‥ 、鉄砲のマイナスばかりを挙げて、反対するのです。

隣国が大規模な鉄砲隊を組織して攻めてくれば、自分の国は滅んでしまう危険性よりも、自分の所属する家(戦国大名家)の中での、自分のポジション(保身)を大切 にして、鉄砲に反対したのです。

トップである戦国大名は、現代で言うビジネスでのトップと同じで、マネージメントを重要視せざるを得なかったのでしょう。

主だった部下たちが反対しているのだから、我が軍の主力を一気に鉄砲隊に切り替えることは出来ない ‥‥ と考え、結果として、全軍比率からすれば、10%程度規模の少数の鉄砲隊を組織させた戦国大名が殆どだったようです。

近視眼的な自分の現在のポジションを優先して、自分が所属する組織の存亡に関わる将来の見通しが出来ない場合がある ‥‥ という 人間の弱点が表れた典型的な事例 だと言えます。

弓隊を率いていたトップの家臣ですが、その豊富な経験を活かして、鉄砲隊の隊長になれば、まだ誰も効果的な戦術を模索中だった鉄砲を効果的に用いて、大きな戦果を挙げることが出来た筈ですが、多くの武士たちは、そのような発想の転換を行って新境地へ踏み込みませんでした。

生きるか死ぬかの戦国時代の話をしましたが、この話、現代のビジネスの話と多くの部分で重なります。

ライバル企業と食うか食われるかの戦いが日々、繰り広げられています。

現代の転職やヘッドハンティングのように所属する企業を変える人がいるように、戦国時代の武士たちの中にも、仕える主君を必要に応じて変えていった者もいました。

しかし、全員ではありません。大多数は、運命共同体的に、自分の家(戦国大名家)や自分の企業(会社)の中で、必死に働いています。

しかし、自分の所属する企業が倒産に追い込まれてしまえば、昨日まで、その企業の中で、それなりのポジションにいたとしても、何の意味もありません。

だからこそ、近視眼的な保身の呪縛から解放された柔軟な発想力を磨いておく必要性があります。

多くの戦国大名たちが、部下(家臣)たちの反対もあり、大々的な鉄砲隊の編成を行わなかった中、唯一、軍隊の主流を鉄砲隊に変えた戦国大名がいませい。

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あの有名な織田信長です。信長は、現在の愛知県の約 1/6 しか領土を持っていなかった弱小な戦国大名でした。

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 現在の愛知県は、昔の尾張国三河国の2国からなりますが、尾張三河の面積比は、約 1対2 で、領有していたのは、尾張(地図上の赤色)の半分しかなかった織田信長は、現在の愛知県の約 1/6 しか支配していなかった弱小戦国大名でした。

歴史が物語る事実として、名だたる有力な戦国大名たちは、次々と織田信長に滅ぼされていき、信長は天下統一目前にまで辿りつきました。

現在の日本の企業の中でも、多かれ少なかれ、汗を流して一生懸命に働いている社員が頑張っている人間だという高い評価を得る傾向があります。

日々、相当な鍛錬(訓練)を行い、敵の矢が降り注ぐ危険の中で、矢を放つ弓の使い手の方が、腰を屈めて鉄砲を撃つ足軽(下級部下)よりも、立派に映る(見える)のと似ています。

経験上、私の得意なExcel(エクセル)の複合関数や簡易マクロ(VBA)を使ったプログラミングによる効率化に対して、斜に構える人がいない訳ではありません。

全員ではありませんが、それぞれの年齢層や地位で、自他ともに、それなりの高い評価を得てる人ほど、Excelプログラミングによる効率化計画に距離を置きたがる傾向があるのは、戦国時代の鉄砲の話と共通する部分を感じます。