自分の思いも言わずに世の中を憂いてはダメ!

微力ながら少しでも世の中を良くしたいので、思いを発信していきたいと思いますので、宜しくお願い申し上げます。

ペルという名の犬を助けた日


父の既に脳梗塞は進行していましたが、まだ、短時間ならば、母と私が共に外出しても大丈夫だった頃の昔の話です。

私の誕生日は5月3日の祝日(憲法記念日)なので、学校で友人に 「お誕生日おめでとう」 と言われた経験がありません(涙)

なので、逆に誕生日だけは、家族と過ごす日と決めて、殆ど外出した記憶がありません。

唯一、大学生4年生の時に所属していた横浜国立大学管弦楽団の第52回定期演奏会(曲目はニールセン交響曲第4番など)が1989年5月3日に行われた、その年は外出していますが、他は家族と一緒に過ごしています。

誕生日が何曜日だろうと祝日なので、あまり変わりないように思われがちですが、日曜日になることもあります。

今年もそうですが、2009年、1998年も日曜日でした。

どうして日曜日にこだわるかというと、天皇賞が誕生日に行われるからです。

春の天皇賞は、1990年までは、何曜日であろうと、4月29日の昭和天皇のお誕生日に行われていました。

しかし、1991年以降は4月末または5月はじめの日曜日に行われるようになりました。

つまり、伝統のあるG1レースが私の誕生日に行われる場合があるのです。

今となっては、かなり昔となってしまった1998年の5月3日。

実は、その日は、天皇賞をリアルタイムで(テレビ)観戦していません。

午前中、私は府中競馬場に馬券を買いに行き、日用品の買い物に車で出掛けていた母と合流すべく、家から車で15〜20分ぐらいの場所で待ち合わせをしていました。

少し早く到達した母が、ヨロヨロして具合が悪く、車に轢かれそうになった犬を助けた……と言って、母が歩道に避難させ、元気なくグッタリと倒れこんでいる犬が、そこにいました。

首輪をしていたので、飼い犬だろうと、しばらくは飼主さんが現れるのを待っていましたが、全く現れる気配もありませんでした。

私たちが、この場を離れてしまえば、再び車道に出てしまって、車に轢かれてしまう危険がありました。

母と相談し、仕方がないので、お医者さんに診てもらうことが、生命を救うことだと考えました。

母と二人で後部座席に犬を載せ、いったん自宅へと戻りました。

その頃、近所には、日曜日に開いている動物病院はなく、当時、我が家の猫のピエスと犬のパークがお世話になっかいた動物のシャッターに、伝言を記した手紙を貼っておきました。

日曜日でも、誰か先生が病院にやってくることを知っていたからです。

いよいよ、楽しみにしていた天皇賞が始まろうかという発走の約10分前、自宅の電話が鳴りました。

休日診療の割高の料金になりますが、今からならば、この犬を診て下さるとのことでした。

犬の生命には変えられる筈もありません。

直ちに連れていき、診てもらいました。

かなり衰弱していたようでしたが、注射により、元気が回復し、翌日には、自力で、しっかりと立ち上がり、食欲も回復して元気を取り戻しました。


飼主さんも、心配されていることと思い、保護した付近に貼紙をするなど、出来る対策は、全て行いました。

しかし、飼主さんからは、連絡がありませんでした。

預かっている期間中とはいえ、名無しちゃんでは、可哀想なので、仮の名前もつけました。

くまさんのようだった我が家のパークとは違い、少し狼っぽい感じの犬だったので、ウルフの一文字を取り、ペルと名付けました。(我が家の動物たちの名前は全てPから始まります)

まだ1歳になっていなかった犬のパークは、身体は既に大人サイズでペルよりも一回り大きかったのも幸いしました。

ペルがパークに危害を加えることもなく、飼主さんが見つかるまで、2匹は庭で一緒に暮らすことになりました。

この期間、何度も保護した場合の付近にペルを車で連れていき散歩させました。

飼主さんに遭遇するか、ペルが自分で飼主さんの家に向かうことを期待したからです。

しかし、手掛かりは見つからず、日数だけが過ぎていきました。

日数が経つ従い、困ったことが日に日に増してきました。

普段のペルは、おとなしくパークや私たちに危害を加えるようなこともない良い子でした。

時にはパークと一緒に、時には単独で、毎日、楽しくお散歩にも行ってました。

元々は、パークは狭い我が家の庭ながら、少しでも自由にさせてあげようと、柵を巡らして、鎖なしで自由に暮らしていました。

しかし、ペルが来てからは、万が一、何かあっては大変なので、2匹とも長い鎖で繋ぐようにしていました。

その不自由にも、パークは我慢してくれていましたが、ペルは違ったのです。

お散歩が終わって、鎖に繋げられるのが、よほど嫌なのか、鎖に繋ごうとすると、牙を剥いて私たちに本気 で噛み付いてきました。

母も私も、凶暴な目つきをしたペルに何度も手を噛み付かれて、傷つけられました。

その時以外は、本当に良い子 なのに。

日に日に、その凶暴さが激しくなり、もう私たちの手にも、おえなくなってしまい、動物病院の先生に相談しました。

犬には帰省本能があり、保護した場所で離せば、元気になったペルは、飼主さんの家に戻る可能性が十分にあるとことでした。

飼主さんの家に辿り着く前に、保健所の野犬狩りに遭い、殺処分されてしまうことが心配でした。

野犬狩りは、原則、夜間や土日の日中に行われることはないそうです。

ただし、ペルを放すのに、車に轢かれてしまう危険が増す、夜は危険だとのことでした。

トータルで考えると、土曜日早朝の日の出の直後に、保護した場所で、ペルを離すことが最適とのアドバイスを頂きました。

念のため、該当地区の保健所に電話をして、野犬狩りの予定がないことを確認しました。

更に野良犬と間違われないよう綺麗な首輪をつけて、首輪には、我が家の電話場所もつけました。

土曜日の早朝、ペルを保護した場所の近くの車の往来の少ない場所で、離すことに決めました。

母とも最終的な打ち合わせをしました。

もしも、ペルを放した後、私たちから離れようとしなかった場合、もう一度、家に連れて帰って面倒を看よう と決めました。

いよいよ、首輪に繋げた鎖を放しました。

ペルは勢いよく、一度も私たちを振り返ることもなく、走り去ってい、視界から消えていきました。

あっけない別れ。

母も私も、この1ヶ月あまりは何だったのだろう? という、虚しさが残ったのも事実でした。

しかし、ペルにとって、これが幸せな道だったのもだろうと思うことにしました。

念のため、30分ぐらいは、戻ってくるかもしれないので、その場所に留まり、ペルを待ちましたが、遂に、戻ってくることはありませでした。

あまりにも、あっけないペルと過ごした 1ヶ月あまりの幕切れ でしたが、私たちは自宅へと戻りました。

正直、空虚感も残りましたが、無事にペルが飼主さんの元に戻ってくれることを祈るばかり でした。

3年の月日が流れました。

父の認知症の具合も相当に悪くなってしまっていました。

もう、テレビ観戦はしても、のん気に競馬場に行って観戦することなど、既に出来なくなった時期になっていました。

当時(2001年)ジャングルポケットという私の大好きな馬がいました。


とてもヤンチャで、物凄く早いのに、舌を出しながら楽しそうに走る姿が、我が家の愛犬のダブり、お気に入りの馬でした。


ヤンチャさもあり、皐月賞は3着に敗れた後のダービー(東京優駿)への参戦でした。

私はジャングルポケット絶対に優勝すると確信 し、応援していました。

そんな気持ちを母が察してくれたのでしょう。

「(もう、お父さんの具合が悪いから、競馬場には行けなくなるのだから)最後だと思って、府中競馬場に観戦してきていいわよ」

と言ってくれました。

母の気持ちを、ありがたく頂戴して、ダービーを観戦し、見事に優勝したジャングルポケットの勇姿を見ることが出来ました。



事実、その後、(いつか、述べる機会もあるでしょう)2008年の唯一の例外を除き、競馬場には行っていません。

その後、競馬場へ観戦しに行ったのは、父が他界し、その心の傷が少し癒えた、父が他界した翌年の2012年のことです。

ジャングルポケットがダービーを制した2001年5月27日のことです。

府中競馬場からの私の帰る時間に合わせて、母が買い物に出掛けてくれ、3年前のペルを助けた地点で合流することなりました。

3年前と同じく、合流地点に早く到着した母は、ペルそっくりの犬を連れて散歩をしている20代の若いお嬢さんを見かけたそうです。

母がお嬢さんに話し掛けたところ、次のようなことがわかりまいた。

・その犬は、3年前、姿を消してしまい、1ヶ月ほどして、突然、戻ってきた。

・鎖に繋ごうとすると噛みつく習性のためのある犬だということこと。

間違いなく、その犬はペルで、無事に飼主さんの所に戻れたという嬉しい事実 が判ったのです!

既にペルは高齢とのことで、再びペルと会うことは出来ませんでしたが、3年前の無事な帰還が確認できただけで十分、心が温かく なりました。

今年(2015年)の5月3日も日曜日です。

無事だったならば、私と同じ5月3日が誕生日の愛猫のpieceが金字塔となる20歳を迎える予定の日でしたが、残念ながら、残り2ヶ月を残して、3月2日に天国へと旅立ってしまいました。





果たして、今年の5月3日、何が起こるのでしょうか‥‥ (完)
 
 
 
 
 
 
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